【ABBV】アッヴィの新薬『スキリージ』は既存のバイオ医薬品よりも優位。新薬登場で免疫領域のポートフォリオを拡大

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あごひじきのひじきです。

2019年3月、アッヴィ(abbv)はスキリージ(リサンキズマブ)が、世界で初めて日本で承認を受けたと発表しました。

このスキリージとは、現在でも根本的な治療法の見つかっていない乾癬(かんせん)や、原因不明のIBDと呼ばれる潰瘍性大腸炎やクローン病といった難病に有効とされています。

今回この記事ではスキリージがアッヴィの主力製品となるのかについて調べました。

現在アッヴィの事業ポートフォリオの6割が16年に特許の切れているヒュミラの売上に依存しており、2023年には米国からも後続品であるバイオシミラーの登壇し、業績を圧迫される懸念からアッヴィにはヒュミラに頼らない事業の多角化が求められています。

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しかし、アッヴィはアラガンやMavuphamaの買収を控える中、18年には大幅な増配に打って出るなど、すでにヒュミラの特許切れへの対応策は考慮しているため経営陣はかなりの強気姿勢を維持しています。

なぜこれほどまでに市場からは嫌気されて株価が低迷しているのに、強気姿勢を維持できるのか、上記記事ではバイオ医薬品の参入障壁の高さをジェネリック医薬品とバイオシミラーの違いから見ていきましたが、今回は第2段として今年3月に発表したスキリージに焦点を当てて既存の乾癬治療バイオ医薬品と比較し、そのメリット・デメリットを紹介します。

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スキリージは乾癬患者に対する最も有力なバイオ医薬品

前述したようにスキリージとは、原因不明の指定難病であるIBD(クローン病や潰瘍性大腸炎)や、乾癬(かんせん)と呼ばれる皮膚病に効果があるとされる生物学的製剤、いわゆるバイオ医薬品です。

乾癬の治療薬として従来の医薬品で効果が不十分だった尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の治療薬として患者に対し皮下注射によって投与します。

乾癬(かんせん)とは

乾癬とは傷口が治る過程で皮膚細胞が過剰に作られることで、傷口から鱗屑(りんせつ)と呼ばれる銀白色のフケのようなものがポロポロと剥がれ落ちる病気です。かんせんと言っても人に感染することはありません。

芸能人では、ヒャダインさんや道端アンジェリカさんが乾癬患者として知られています。

道端アンジェリカ「隠している方が辛かった」持病公表に言及 (2017年5月16日) - エキサイトニュース
インスタグラムで皮膚病を公表したモデルの道端アンジェリカ(31)が16日、フジテレビ系『めざましテレビ』、日本テレビ系『情報ライブミヤネ屋』に出演し、告白にいたった心境や、病状について言及した。道端は...

症状は、発熱・倦怠感・悪寒や、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)では、悪化すると関節が変形して戻らなくなるなど、生活に大きな支障が出る悩ましい病気です。

ちなみになぜ鱗屑がポロポロと剥がれ落ちるのかと言うと、健康な人は表皮細胞が生まれてからはがれるまで28日かかるのに対し、乾癬患者の場合、そのサイクルが10倍以上早まり表皮細胞が異常な増殖を起こし細胞を作り続けてしまうからです。

また、一度発症すると、症状の出ていない皮膚に摩擦やキズなどの刺激が加わることで、健康な皮膚からも発症したりします。

さらに、乾癬は自己免疫異常によって引き起こされるため、バイオ医薬品で治療し一度治ったように見えても再発の可能性が潜んでおり、改善・悪化を繰り返し治療が数十年に及ぶことも少なくありません。

このことを証明するように、乾癬患者の多くが既存のバイオ医薬品に対して不満を抱えており、中等症から重症の乾癬患者の治療満足度は50%に留まっています。

乾癬患者は全世界に1億人以上

日本の乾癬患者数は43万人ほどと推計されていて、欧米の10分の1程度に過ぎません。

しかし、全世界を見渡すと人口の3%にも及ぶ1億2500万人もの人が乾癬にかかっているとされています。また、そのうち30%が乾癬性関節炎に進展すると言われており、早急な治療薬開発が必要です。

乾癬の5つの症状

乾癬は主に以下の5つの症状に分けることができます。この内スキリージが有効なのは太字項目の4つの症状です。

  • 尋常性乾癬
  • 乾癬性紅皮症
  • 乾癬性関節炎
  • 膿疱性乾癬
  • 滴状乾癬

なぜ滴状乾癬はスキリージの対象外かと言うと症状が軽いものだからです。詳細は下記です。

尋常性乾癬

尋常性=格別(特に、異常)なところもなく、ごく普通といった意味で使われます。この名前がついたのは乾癬患者の7‐8割がこれに当たるためです。

尋常性乾癬では、皮膚が赤くなったり、盛り上がったり、鱗屑が付着し剥がれ落ちるなどの症状が見られます。

尋常性乾癬を放置したり、適切な治療を行わないと、悪化して全身の9割にも広がる乾癬性紅皮症となる可能性があります。

乾癬性紅皮症

尋常性乾癬を放置すると全身に広がって赤みを帯び、鱗屑がポロポロと剥がれ落ちてくる乾癬性紅皮症になります。

日本では乾癬患者の1%に過ぎませんが、発熱や倦怠感・悪寒を伴うなどの症状が現れます。

乾癬性関節炎

主な症状は足の裏や手足の関節、背骨などに炎症が起こった状態で痛みやこわばりが生じます。関節リウマチに似ているが異なる病気です。

関節に症状が出て治療が遅れると重症化して関節が変形して戻らなくなるため早急な対応が必要となります。

日本の乾癬患者の15%が合併症状として併発するとされています。また、世界では30%にも及ぶ乾癬患者がこの乾癬性関節炎にかかる危険があるのです。

膿疱性乾癬

急な発熱とともに全身の皮膚が潮紅し無菌性膿疱が多発する稀な病気で、重症疾患であるため殆どの患者は入院治療が必要です。

滴状乾癬

風邪や扁桃腺炎が原因で誘発することが多く、小さな水滴状の湿疹が現れるのが特徴です。若年者に多く見られる病気で、乾癬患者の約4%が滴状乾癬です。

原因となった風邪や扁桃腺炎を治すことで治ることが多いが稀に再発して尋常性乾癬になることがあるので注意です。

乾癬の原因

原因はタンパク質の一種であるサイトカインのうち、インターロイキンのIL-12,IL-23だとされています。

サイトカインとは生理活性物質と呼ばれる下記の総称
  1. インターロイキン(IL)
  2. 造血因子(CSF, EPO, TPO)
  3. インターフェロン(IFN)
  4. 腫瘍壊死因子(TNF)
  5. 増殖因子(EGF, FGF, PDGF)
  6. ケモカイン(IL-8)

このIL-12やIL-23の働きを抑えることで自己免疫疾患である乾癬の症状を抑えることができるのです。

しかし、サイトカインは本来悪者ではなく、身体の免疫機能として働いてくれています。

なので、安易にサイトカインの働きを抑え込むと、免疫機能が低下し風邪を引きやすくなったり重篤な病気に感染してしまったりと思わぬ副作用が発生してしまうのです。

なので、身体に有益なサイトカインを攻撃せず、病気の原因となっているサイトカインの一部をピンポイントで阻害する必要があるのです。

乾癬の治療方法

乾癬の治療にいきなりスキリージやヒュミラなどのバイオ医薬品を使用するわけではありません。

従来の治療薬で効果が不十分な場合に段階を経てバイオ医薬品にたどり着くのです。

その理由は上記でも述べたようにバイオ医薬品がサイトカインの働きを抑制することで、患者の免疫機能の低下に繋がり重大な副作用を引き起こしかねないからです。

そのため基本的には以下の手順で処方していき、従来の医薬品では症状の改善が見られない中度~重度の症状の場合にバイオ医薬品を使用するということになります。

  1. 塗り薬(ステロイド外用療法)
  2. 紫外線療法
  3. 飲み薬
  4. 生物学的製剤

今回はこのうち生物学的製剤(バイオ医薬品)のみを取り上げます。

原因物質であるサイトカインを阻害するバイオ医薬品

現在、乾癬治療に利用されるバイオ医薬品は下記のものが挙げられます。

  • ヒュミラ
  • ステラーラ
  • レミケード
  • トレムフィア(今回発表のスキリージの前身)
  • スキリージ
  • コセンティクス
  • トルツ
  • ルミセフ

攻撃対象毎に分類すると以下の4つに分けることができます。

  • IL-23p19(トレムフィア、スキリージ)
  • IL-12,23P40(ステラーラ)
  • IL-17(コセンティクス、トルツ、ルミセフ)
  • TNF(レミケード、ヒュミラ)

レミケードとヒュミラはTNFといって腫瘍壊死因子の働きを抑え込むものとなっています。

また、簡単に説明すると、IL(インターロイキン)にも種類があって、IL23やIL12などがあります。IL23はp19とp40で構成されていたりします。

IL12もp40とp35を持っていて、そのうちIL12とIL23の持っているp40を抑え込むのがステラーラです。

IL17もそういうものです。(医者もわかってないらしいので、そんな物質のことを掘り下げるのは割愛します)

各バイオ医薬品の特徴

ここでは攻撃対象毎にそれぞれの特徴を挙げ、既存医薬品に対してスキリージの優劣を確認していきます。

まずは、今回のメインであるスキリージから見ていきます。

IL-23p19(トレムフィア、スキリージ)

IL-23p19のp19とは、インターロイキン23持つ物質です。IL-23はp19とp40を持っているのですが、スキリージとその前身となるトレムフィアはp19のみを標的としています。そのため、副作用の発症を低く抑えることができます。

スキリージ

スキリージは皮下注射によって患者に投与されます。薬価は半量の75mgが約24万円で、1回150mgを0週、4週、以後12週といった間隔で投与していきます。これは、既存のバイオ医薬品のステラーラと同頻度の投与回数で、その回数は乾癬治療のバイオ医薬品の中で最も少ないです。

値段もステラーラとほぼ一緒ですが、スキリージは投与量を半量に減らしてもある程度効果が認められることもわかっています。

半量投与の臨床試験は国内で行われたのですが、その臨床試験の中で75mg投与の方が効果の発現が遅れる傾向があるものの、投与から28週以降の有効性は150mg投与と同程度の効果があったとされています。このことからスキリージの医薬品情報をみても、患者の状態によっては半量投与でも可能としています。

スキリージの特徴は、スキリージに対する抗体が発生しやすいものの、投与回数が最も少ない医薬品なので、患者負担を費用面でも労力面でも軽減できることや、p19をピンポイントで攻撃するので副作用が少ないことがメリットとして挙げられます。

スキリージは前身のバイオ医薬品であるトレムフィアの副作用発生率と同等です。また、トレムフィアと同じようにスキリージも中度~重度の乾癬(かんせん)全般に効果があります。

さらにスキリージは、乾癬以外にも原因不明とされるIBDと呼ばれるクローン病や潰瘍性大腸炎の臨床試験も進行しているので、今後これら乾癬やIBDといった難病に対して最も有効なバイオ医薬品に成長するものと考えています。

日本だけでもIBD(クローン病、潰瘍性大腸炎)患者は20万人以上いて、安倍首相も潰瘍性大腸炎です。

加えて、臨床試験ではステラーラ、ヒュミラより有効な結果が得られたとあるので今後に期待です。
トレムフィア

スキリージの前身となるトレムフィアはジョンソンエンドジョンソンの医薬品部門であるヤンセンが開発を行いました。

皮下注射として処方するもので、薬価は32万円/回でスキリージのように用量を減らすことはありません。投与回数は0週、4週、以後8週とスキリージよりも投与回数が多くなっています。

治療効果を打ち消す中和抗体の面で見れば、トレムフィアの方がスキリージよりも抗体ができにくいので、薬の効果低下が見られづらく、トレムフィアの優位性となります。

とはいえ、乾癬は長期治療が前提であり、ランニングコストで見れば、スキリージを半量投与に抑えることで患者の費用負担軽減を図れるので、スキリージに軍配が上がるのではないでしょうか。

IL-12,23P40(ステラーラ)

サイトカインであるIL-12,23の持つp40をターゲットとしています。薬価は約43万円/回

このステラーラは、TNF(腫瘍壊死因子)を対象としたヒュミラやレミケードと同程度の重大な副作用を伴います。(1~5%未満の確率でウイルス・細菌・真菌)

IL17を対象とした製剤や、IL-23p19をターゲットとしたスキリージなどと比べて高い確率で重大な副作用が見られるので、スキリージの方が優位だと言えます。

また、主な使用用途が乾癬の中でも尋常性乾癬、関節性乾癬のみに限られることや、その他の病状もクローン病しか適応していないなど需要も限られます。

とはいえ、国際臨床試験では5-12%ほどしか抗体が発生しておらず、投与回数もスキリージと同一で最も患者負担を抑えることができるなどの魅力も備えています。

ちなみにステラーラは乾癬の一部とクローン病にしか使われていませんが、17年には49億ドルの売上でトップ20医薬品(18位)になっています。

IL-17(コセンティクス、トルツ、ルミセフ)

IL-17の特徴としては、薬の効果を阻害する抗体ができづらいですが、投与回数は多く、比較的副作用のリスクは低いもののスキリージには及ばないため特に大きなメリットは見られません。

ルミセフ

投与頻度は0週、1週、2週、以後2週おきで投与回数が非常に多いです。薬価は7万円と安価

ちなみにルミセフの国内・海外での臨床試験では、自殺したいと考えたり(自殺思慮)、薬の大量服用やリストカットなどの自殺企図、さらには自殺に至ったものがいるなど、非常に低い頻度ながらもこういったことが発生していることは懸念材料の一つです。

コセンティクス

こちらも投与頻度が非常に多く、0,1,2,3,4週、以後4週毎に投与です。薬価は約14万円

重大な感染症リスクが1.1%となっており、スキリージの重大な感染症(0.7%)、過敏症(0.1%)の確率よりも高いです。

また、コセンティクスに有効な症状は、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬のみで、乾癬性紅皮症が対象外なこともデメリットに挙げられます。

トルツ

トルツも投与頻度が多く、初回は160mgを投与後、2週後~12週後まで2週間隔で1回80mg、以降は4週間隔で80mgを投与します。薬価は約15万円(80mg)

メリットは副作用がスキリージと同程度と低いことと、スキリージよりも若干抗体が出来づらいことぐらいです。

抗TNF製剤(ヒュミラ・レミケード)

サイトカインの1種である腫瘍壊死因子(TNF)を抑制する対象としています。

フュミラやレミケードなどの抗TNF製剤には共通して結核などの感染症(特に肺炎)、中枢神経系や末梢神経系の脱髄疾患の発現や悪化など重大な病気にかかるリスクがあります。

また、頭痛や発疹などの副作用も海外の臨床試験で50%以上の確率で発生するなど、副作用が多い医薬品となっています。

ヒュミラ

ヒュミラはTNFαの働きを阻害するもので、ヒト型モノクローナル抗体という人間の成分からできているバイオ医薬品です。そのため、比較的抗体ができにくく、投与されても親和性が高くアレルギー反応などを起こしにくいです。

とはいえ、ヒュミラは抗TNF製剤なので、重大な副作用を起こす確率も3%程度とスキリージよりもかなり高いのには注意が必要です。

薬価も40mg6万円(初回80mg、以後2週毎に40mg投与)と他の医薬品と比べて圧倒的に安いのもヒュミラの魅力の一つです。

薬の適用範囲(下記)も広く、さすが年間売上1位を誇るバイオ医薬品ですね。

多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎

関節リウマチ

化膿性汗腺炎

尋常性乾癬,関節症性乾癬,膿疱性乾癬

強直性脊椎炎

腸管型ベーチェット病

非感染性の中間部,後部又は汎ぶどう膜炎

中等症又は重症の活動期にあるクローン病

中等症又は重症の潰瘍性大腸炎の治療

レミケード

調べてて思ったのですが、このレミケードは私は使いたくないと思いました。

なぜならキメラ型モノクローナル抗体といって、ネズミのタンパク質25%と人間のタンパク質75%で構成されているからです。自分の体の中にネズミの成分が入ると考えるとやっぱり気持ち悪いですね。

このレミケードを処方することで、人間の身体にない成分が入ってくるため、身体が異物と認識して拒絶反応を起こします。さらに抗TNF製剤なので感染症や結核にかかりやすく、喉の炎症、発熱、湿疹なども高い確率で引き起こします。

このような拒絶反応を抑えるためにMTXと呼ばれる症状緩和のための薬を飲む必要があります。

また、自己投与ができないばかりか、点滴注射による投与なので病院に拘束されるデメリットも大きいですね。

デメリットが多いレミケードですが、薬価は100mg約8万円で、体重1kg当たり5mg必要なため、体重60kgでは300mg(約24万)必要になります。このように費用面でも特段安いわけではなく、それなら安価なヒュミラやスキリージを半量投与で使った方がよっぽどかメリットがあります。

ちなみにこのレミケードはヒュミラと同じように幅広い症状に効果が期待できます。

ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎

尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症

強直性脊椎炎

腸管型ベーチェット病、神経型ベーチェット病、血管型ベーチェット病

川崎病の急性期

スキリージの優位性

前述した乾癬治療の既存のバイオ医薬品とスキリージを比べてまとめます。

メリット

スキリージのメリットとして、以下のものが挙げられます。

  • スキリージは投与回数が少なく、自己注射が可能
  • 副作用が少ない
  • プラセボ群、ウステキヌマブ群、アダリムマブ群より有効
  • 投与量調整で患者負担減少

スキリージは投与回数が最も少なく、自己注射が可能


(縦軸の単位:万円)40週まで投与したときの各薬剤の費用比較(薬価のみの値段です)

乾癬治療のバイオ医薬品の中で最も投与頻度の少ないステラーラと同じく、0週、4週、以後12週間隔での投与となっており、患者の負担を大きく減らすことができます。

また、投与回数の多いものでは病院での指導後、患者自身で自宅投与もできましたが、投与回数の少ないスキリージの前身であるトレムフィアとステラーラは自己注射が不可だったので、スキリージも自宅での自己注射不可だと思われていました。

しかし、アッヴィの公式発表から患者による自己注射も可能とのことで、煩わしい通院による待ち時間など患者負担を大きく軽減することが期待できます。

アッヴィ合同会社の公式発表より。

スキリージ®の推奨用量は 150 mg で、0 週および 4 週時の 2 回の初期投与後、12 週毎に 2 本の皮下注射を投与します。スキリージは院内での投与や、トレーニングを受けた患者さんによる自己注射も可能です。
https://www.abbvie.co.jp/content/dam/abbvie-dotcom/jp/documents/press-release/2019_0513.pdf

少ない副作用

スキリージは重篤な感染症の発症率が0.7%、重篤な過敏症が0.1%と極めて低いです。

同程度の医薬品のトルツは、重篤な感染症0.3%、重篤な過敏症反応0.1%、好中球数減少0.5%、炎症性腸疾患0.2%で、ルミセフは重篤な感染症0.8%、重篤な過敏症0.02%、前身となるトレムフィアは重篤な感染症は頻度不明となっています。

IL-17のトルツは投与頻度も多く、40週までのランニングコストを比較した結果もほとんど変わりません。

ルミセフは薬価を抑えることができるものの、自殺の可能性があるということは、精神的にも病みそう(偏見です)で個人的にはあまり使いたくない薬の一つです。

また、トレムフィアはスキリージに対しての下位互換だけあって投与回数がスキリージよりも多い、自己投与できない、費用があまり変わらないとなってます。

抗体が出来づらいので、スキリージ抗体ができて薬の効果が低減してしまったときには良さそうではあります。

プラセボ群、ウステキヌマブ群、アダリムマブ群より有効

プラセボとは、偽薬です。プラシーボ効果といったりしますね。

病気に効果がある成分が含まれていないのに、薬を使った!という思い込みで治ってしまう、ということもあるので、本当に有効な薬なのか試験で比較する必要があるのです。

プラセボよりも優位な結果が出たというのは当たり前と考えていて問題ないでしょう。

ヒュミラやステラーラよりも優位な結果が示されたのは大きなメリットだと言えます。

国際臨床治験のフェーズ3試験(フェーズ3=治験の最終段階)で、ヒュミラ(アダリムマブ)やステラーラ(ウステキヌマブ)よりも優位な臨床結果が示されています。

https://www.abbvie.co.jp/content/dam/abbvie-dotcom/jp/documents/press-release/2019_0524.pdf

投与量調整で患者負担減少

スキリージの国内臨床試験では、75mg投与でも有効な成績が得られていることから、患者の状態によっては半量投与も可能とされています。

また、半量投与でも28週目以降は通常量と同等の効果が出ており、乾癬治療は長期治療前提となるので、今まで以上にスキリージが半量投与でも十分効果があると認められれば、ヒュミラに次いで最も安い薬価で患者負担の大幅軽減に繋がることが期待できます。

PMDA資料

http://www.pmda.go.jp/drugs/2019/P20190329001/112130000_23100AMX00299_A100_1.pdf

デメリット

  • 抗体ができやすい
  • ランニングコスト高だが投与量減らすことで大幅に削減可能

抗体ができやすい

抗体ができやすいということは、薬の効果が十分に発揮されないことを意味するため、あまりいいことではありません。

しかし、それ以上に副作用が少なかったり、投与頻度が少ないことや、自己注射も可能というメリットは乾癬患者にとって大きいと思うので、抗体ができやすいというデメリット以上に、スキリージを使用するきっかけになると思います。

ランニングコストが高い

スキリージは患者の状態によって半量投与も可能ですが、そもそもしっかりと効果が出ていなければ半量にしても意味がありません。

なので、効果が薄い患者に対しては規定の用量をしっかり投与しなければなりませんし、そうすることで医療費が高額になるので需要の低下に繋がりかねません。

そうなれば今後データ集まりづらくなるので、今はしっかりと臨床試験のデータを集め、スキリージの優位性を強固にしていくことで薬に対する信頼性と需要が高まっていくものだと思います。

まとめ

スキリージは既存の治療薬と比べても優位な点がかなり多いです。

しかし、欧州のように「乾癬治療の第一選択はアダリムマブとセクキヌマブだ!」などといったガイドラインが、日本や米国では存在しないのが現状です。

日本皮膚科学会

尋常性乾癬における各生物学的製剤の選択方法として、世界的に確立された基準は存在しな

い。米国のガイドラインでは各生物学的製剤は全身治療の選択肢としてほぼ同列に位置づけ

られているが、欧州のガイドラインにおいてはアダリムマブとセクキヌマブが全身治療のフ

ァーストライン、それ以外の薬剤は他の全身治療を先ず考慮した上でのセカンドラインの推

奨となっている
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/news/J20190219_gaid.pdf

そのため、いくら他のバイオ医薬品と比べて優位だろうと、医師や患者の判断によって選択されてしまうため、新薬でデータ不足なスキリージは他の薬剤の効果が不十分な時にしか使われない可能性もあります。

とはいえこの治療薬の存在が知れ渡り、第一選択肢として広がれば大きく市場を開拓できるものと思います。

そうなれば同社にとって強力な主力製品になりうるのは既存治療薬との比較でも明白なので、今後の動向に注目です。

また、乾癬は一度治ったと思っても再発し、一生付き纏ってくる病気なので、早急に再発のしない治療薬が出ることを願っています。

あごひじきのひじきでした。

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